1. micopi の概要
micopi は、耳コピ(曲を聴いて音を採る作業)を助けるための iOS アプリです。 手持ちの曲を取り込むと、次の3つを行います。
- パート分離 — 曲をボーカル・ピアノ・ベース・ギター・ドラム・その他に分ける
- 音程検出 — パートごとに「どの高さの音が、いつ、どれだけ鳴っているか」を推定する
- 可視化と再生 — 検出した音をピアノロールに流し、聴きながら目で追える形にする
設計の考え方
| 完全オンデバイス処理 | 音源分離・音程検出はすべて端末内の機械学習処理で行います。音声データが外部へ送信されることはなく、機内モードでも全機能が使えます。 |
|---|---|
| 買い切り | サーバーを使わないため運用コストが発生せず、月額課金がありません。アカウント登録も不要です。 |
| モデル同梱 | 使用する機械学習モデルはすべてアプリに含まれています。初回起動時のダウンロードはありません。 |
| 耳コピ補助であること | 分離も音程検出も推定処理です。完全な採譜結果を出すものではなく、「聴き取りの手がかりを増やす道具」として設計されています。 |
2. 動作環境と対応フォーマット
動作環境
- iOS 17.0 以降の iPhone / iPad
- ネットワーク接続は不要(機内モードでも全機能が使えます)
- 分離処理は端末の性能に依存します。新しい端末ほど短時間で終わります
取り込める音源
| 音声ファイル | ファイルアプリなどから、iOS が再生できる音声形式(m4a / mp3 / wav / aac / aiff など)を取り込めます。ファイルはそのままコピーされます。 |
|---|---|
| ミュージックライブラリ | 端末の「ミュージック」にある曲のうち、購入した曲やパソコンから同期した曲を取り込めます。取り込み時に m4a へ書き出されます。 |
| カメラロールの動画 | 動画・画面収録の音声だけを抜き出して取り込みます。映像は保存されません。 |
取り込めないもの: Apple Music などのストリーミング配信曲、DRM で保護された曲は、 iOS の仕様上ほかのアプリから読み取れないため取り込めません。
長さの上限: 15分
15分を超える音源は取り込めません。パート分離も音程検出も曲全体の音声データを メモリ上に展開するため(44.1kHz ステレオで1分あたり約21MB、高品質分離では 中間データとあわせてその約2倍)、長尺を取り込むと処理中にメモリ上限を超えて アプリが強制終了されます。
長い音源は、聴き取りたい部分だけを切り出してから取り込んでください。 カメラロールの動画は、写真アプリでトリミングしてから選ぶとその範囲だけが取り込まれます。
3. はじめかた(最短の流れ)
- 曲リスト画面の右下の + から曲を取り込みます。
- リストの曲をタップしてプレイヤー画面を開きます。この時点で、分離前の原曲(ミックス)に対する音程検出が自動的に始まります。
- 画面下部に並ぶパートのアイコンのうち、聴きたいパート(例: ピアノ)をタップします。まだ分離していないパートは、タップするとそのパートの分離が始まります。
- 分離が終わると、そのパートの音程検出が続けて自動的に行われ、ピアノロールに音符が並びます。
- あとは、テンポを落とす・A-B ループで区間を繰り返す・HOLD で瞬間の音を伸ばす、といった操作で聴き取りを進めます。
初回起動時には、曲リスト画面とプレイヤー画面でそれぞれチュートリアルが表示されます。 あとから見直したい場合は、曲リスト左上の ? メニュー、 またはプレイヤー画面の ⋯ メニューから「使い方を見る」を選んでください。
4. 曲を取り込む
取り込みの3つの経路
曲リスト画面の右下にある + ボタンをタップすると、3つの選択肢が開きます。
| ミュージックから選ぶ | 端末のミュージックライブラリから曲を選びます。初回はライブラリへのアクセス許可が必要です。 |
|---|---|
| ファイルから選ぶ | ファイルアプリ(iCloud Drive や他社クラウドを含む)から音声ファイル・動画ファイルを選びます。 |
| カメラロールから選ぶ | 写真ライブラリの動画を選びます。音声のみが抽出されます。 |
取り込み中の動作
- 取り込み中は画面全体にインジケータが出ます。キャンセルで中断できます。
- 動画からの抽出は音声トラックのみを対象とするため、映像の再エンコードは行いません。元の音声が AAC の場合は再エンコードなしで詰め替えられます。
- 曲のアートワークは、音源に埋め込まれたもの → ミュージックライブラリのもの → 動画の1コマ、の順で探して曲リストのサムネイルに使います。見つからない場合は曲ごとの色が使われます。
- ホーム画面に戻っても取り込みは短時間だけ継続されますが、猶予が尽きると中断されます。取り込み中はアプリを開いたままにしてください。
取り込み時のエラー
| この曲は保護されているため取り込めません | Apple Music などの DRM 保護された曲です。購入した曲や、パソコンから同期した曲を選んでください。 |
|---|---|
| 15分を超える音源は取り込めません | 聴き取りたい部分を切り出してから取り込んでください。 |
| この動画には音声が含まれていません | 音声トラックのない動画は取り込めません。 |
| ミュージックライブラリへのアクセスが許可されていません | iOS の「設定 > micopi」からアクセスを許可してください。 |
5. 曲リスト画面
行の見かた
- サムネイル(アートワークまたは曲ごとの色)、曲名、長さが並びます。
- 分離を行った曲には、分離済み(全パート)または一部分離(一部のパートのみ)のバッジが付きます。
操作
| 曲を開く | 行をタップ |
|---|---|
| 名前を変更 | 行を右へスワイプ、または長押しして「名前を変更」 |
| 削除 | 行を左へスワイプ |
| 検索 | 画面を下に引くと検索欄が出ます(曲名で絞り込み) |
| 並べ替え | 右上のメニューから「追加が新しい順 / 曲名順(A→Z)/ 曲名順(Z→A)」。選んだ並び順は次回以降も保持されます |
| 使い方・ライセンス | 左上の ? メニュー |
曲を削除すると、その曲の原曲・分離済みパート・音程検出結果がすべて端末から削除されます。 処理中の曲を削除した場合は、その処理も中断されます。この操作は取り消せません。
6. プレイヤー画面の構成
プレイヤー画面は、上から下へ次の順に並んでいます。
| ⓪ 画面上部 | 停止中は曲名。再生中と HOLD 中は、いま鳴っている音の音名に変わります(9章)。 |
|---|---|
| ① ピアノロール | 検出した音程を表示する領域。画面の余った縦幅をすべて使います。 |
| ② パートアイコン | ドラム・その他・ベース・ギター・ピアノ・ボーカルの6つ。分離と選択の入口です。分離の進捗もここに重ねて表示されます。 |
| ③ 拡大波形 | 再生位置の前後±6秒を拡大表示。中央が現在位置です。 |
| ④ 全体波形と時間 | 曲全体の波形。タップ/ドラッグで任意の位置へジャンプします。下に経過時間と残り時間が出ます。 |
| ⑤ A / リピート / B | ループ区間の指定と、繰り返しの ON/OFF。左右に頭出し・末尾ジャンプのボタンがあります。 |
| ⑥ トランスポート | 10秒/5秒の前後移動、再生・一時停止、HOLD。 |
| ⑦ speed / key | 再生速度と移調。 |
| ⋯ メニュー | 右上。書き出し・表示設定・「分離前に戻す」など(15章)。 |
7. パート分離
パート単位で分離する
未分離のパートのアイコンは破線の枠で表示されます。タップすると、 そのパートだけの分離が始まります。曲全体を一度に分離するのではなく、 必要なパートだけを分離できるため、待ち時間を必要最小限にできます。
分離処理の都合で同時に得られるパートがある場合、それらもまとめて分離済みとして保存されます。 そのため、1つのパートを指定しても複数のアイコンが同時に有効になることがあります。
分離中の動作
- 進捗はパートアイコンの上に「パート分離中… ○○%」として表示されます。
- 分離が完了したパートは、処理の途中でも順次再生に合流します。全体が終わるのを待たずに、できたところから聴けます。
- 画面を離れても処理は継続します。曲を開き直せば進捗表示が復元されます。
- キャンセルを押すと中止できます。実際に停止するまで数秒かかります(処理の区切りまで進んでから止まるため)。中止した場合、実行中だったパートの結果は破棄され、すでに分離済みのパートは残ります。
- 分離・検出は同時に1件だけ実行されます。ほかの曲で処理が走っている場合は「順番待ち」と表示され、順に実行されます。これは、複数を並行させると端末のメモリ上限を超えて強制終了されるためです(GPU はどのみち順番に処理されるため、並行させても速くなりません)。
所要時間の目安
およそ5分の曲で1分〜5分程度です。端末の性能と、分離するパート数によって変わります。 一度分離すれば結果は保存されるので、次回からは即座に開けます。
アプリを離れたときの挙動
iOS では、バックグラウンドのアプリは GPU を使えません。micopi の分離・検出は 処理の区切りごとにこれを確認し、バックグラウンドの間は待機して、 アプリに戻ると続きから自動的に再開します(エラーにはなりません)。
- ホーム画面に戻った場合、約30秒は処理が継続され、その後は待機に入ります。
- 分離中は画面の自動ロックが抑止されます。処理を最後まで走らせる確実な方法は、アプリを開いたままにしておくことです。
- アプリを上へスワイプして終了した場合、処理は消えます。データが壊れることはありません(分離済みとして記録されるのは完了したパートのみ、検出結果も書き込みが完了したものだけが残ります)。
8. 音程検出
いつ実行されるか
- 曲を開いたとき — 表示対象がまだ検出されていなければ自動的に始まります。分離前の曲では、原曲ミックスがそのまま検出対象になります。
- パートを選んだとき — 選択したパートが未検出であれば、自動的に検出が始まります(パートの選択=解析の意図として扱われます)。
- 分離が終わったとき — 続けてそのパートの検出が行われます。
検出結果は曲ごと・パートごとに保存されるため、2回目以降は待ち時間なく表示されます。 複数パートをまとめて検出する場合、進捗はパート数で按分して表示されます。
検出の対象
- 音程検出の対象はドラム以外のパートです(ドラムは音程を持たないため)。
- ボーカルもポリフォニック(同時に複数音)で検出します。ハモリやコーラスも同時に採られますが、その代わり単音の歌メロだけを追う専用処理に比べると精度は劣ります。
- ピアノのパート、および「ピアノ音源モード」を有効にした未分離の曲は、ピアノ専用の高精度な検出処理が使われます。
9. ピアノロールと音名表示
見かた
- 横軸=音程、縦軸=時間。実際のピアノと同じ鍵盤配置(白鍵は等幅、黒鍵は白鍵の境界にまたがる細い鍵)で、下端に鍵盤が並びます。
- 上が未来です。音符は上から下へ流れ、鍵盤の上端に到達した瞬間=いま鳴っている音になります。過去の音符は表示されません。
- 音符の縦の長さがそのまま音の長さです。休符と演奏の配分も視覚的に分かります。
- 複数パートを選んでいる場合は、パートごとの色で重ねて描かれます。分離前のミックスの音符は無彩色(グレー)で表示されます。
操作
| 左右にドラッグ | 表示する音域を移動(A0〜C8 の範囲でパン) |
|---|---|
| 上下にドラッグ | 再生位置のスクラブ(譜面が指に付いてくる向き) |
| ダブルタップ | 音域を自動レンジに戻す |
画面に表示する音域の広さは、⋯ メニューの「ピアノロールの表示音域」で 3 / 4 / 5 オクターブから選べます(既定は4オクターブ、曲ごとに保存されます)。
いま鳴っている音の音名
再生中は、画面上部の曲名がいま鳴っている音の音名に変わります(例:「C E G」)。 表示のもとになるのはピアノロールに描いている音符と同じなので、 目で追っている音符の名前をそのまま読み取れます。停止すると曲名に戻ります。
- オクターブの数字は付けず、低い音から順に並べます。同じ音名が重なる場合はまとめ、最大6音まで表示します。
- 黒鍵は C♯・F♯ をシャープ、E♭・A♭・B♭ をフラットで表記します。
- キーを変えている場合は、実際に聞こえている高さの音名で表示します。
- HOLD 中も表示されます。伸ばしている音の音名を確かめるのに使えます(12章)。
音程検出が終わっていない曲では曲名のままです。パートを選んでいない場合は、 ピアノロールと同じくミックスの検出結果から音名を出します。
10. パートの選択・ミュート
アイコンの状態
| 破線の枠 | 未分離。タップするとそのパートの分離が始まります。 |
|---|---|
| 通常表示 | 分離済み。タップで選択できます。 |
| 色付き・枠あり | 選択中。ピアノロールにそのパートが表示されます。 |
| 斜線 | オフ(ミュート)。そのパートの音だけが鳴りません。 |
操作
| タップ(分離済み) | 選択/解除。複数のパートを同時に選ぶと、ピアノロールに重ねて表示されます。何も選んでいない状態=原曲どおりの再生です。 |
|---|---|
| タップ(未分離) | そのパートの分離を開始(続けて音程検出) |
| 長押し(分離済み) | そのパートをオフにする/戻す |
選択とミュートは別の機能です
選択は「どのパートを見る/際立たせるか」、 オフ(長押し)は「どのパートの音を消すか」です。 2つは独立しているため、自分のパートの譜面を見ながら、その音だけを消した マイナスワン音源で練習するといった使い方ができます。
パートを選んだときの他パートの鳴り方
⋯ メニューの「パートを選んだとき」で、曲ごとに切り替えられます。
| 選択したパートのみ再生 | 従来のソロ。選んだパート以外は鳴りません。 |
|---|---|
| 他のパートを50%で再生(既定) | 原曲の中で目的のパートを追いかけたいときに。 |
| 他のパートも再生 | 音は原曲のまま。切り替わるのはピアノロールの表示だけです。 |
選択したパートの選択状態・オフの状態は曲ごとに保存され、曲を開き直しても復元されます。
11. 再生・移動・ループ
再生と移動
| 再生 / 一時停止 | 中央の大きなボタン |
|---|---|
| 5秒 / 10秒の前後移動 | 再生ボタンの左右のボタン |
| 頭出し / 末尾へ | A-B 行の左右端のボタン |
| 全体波形 | タップ/ドラッグでその位置へジャンプ |
| 拡大波形 | 掴んで左右にドラッグすると、±6秒の範囲で位置を微調整(この間 HOLD が働きます。12章) |
Bluetooth イヤホン使用時の遅延は自動的に補正され、再生位置の表示・ピアノロールの 流れが音とずれにくくなっています。ただしイヤホンの仕様(対応コーデックなど)によっては 誤差が残る場合があります。
A-B ループ
| A / B を設定 | ボタンをタップすると、その時点の再生位置が設定されます(設定済みなら上書き) |
|---|---|
| A / B を解除 | ボタンを長押し |
| 繰り返しの ON/OFF | 中央のリピートボタン(点灯=有効) |
- A と B の両方を設定 → その区間を繰り返します。
- A だけ設定 → A から曲の終わりまで。B だけ設定 → 曲頭から B まで。
- どちらも未設定でリピートが有効 → 曲全体を繰り返します。
- A ≧ B のような矛盾が生じた場合は、後から設定した方を残して、もう一方を破棄します。
⋯ メニューの「リピート再生」は曲全体のリピートです。 A-B ループが有効な場合は、区間の繰り返しが優先されます。
12. HOLD(音の持続)
HOLD は、その瞬間の音を止めたまま鳴らし続ける機能です。 速いコードチェンジの中の1つのボイシングや、一瞬で過ぎるパッセージの音を、 時間をかけて確かめられます。
操作
| 短くタップ | HOLD 開始(そのまま持続)。もう一度タップで解除 |
|---|---|
| 押しっぱなし | 押している間だけ HOLD。指を離すと解除 |
| 拡大波形を掴む | 触れた瞬間に HOLD が始まり、左右のドラッグで位置を探れます(±6秒=画面幅)。指を離すと元の再生状態に戻ります |
- 再生中・停止中のどちらからでも使えます。停止中でも、その位置の音を鳴らせます。
- HOLD を解除したときに再生を続けるか止めるかは、再生ボタンの状態に従います。HOLD 中に再生ボタンを押すと、解除後の状態を切り替えられます。
- HOLD 中も画面上部の音名は表示されたままです。伸ばして聴いている音の音名をそのまま確かめられます(9章)。
音の性質について
HOLD は、その瞬間の音の周波数成分を取り出して引き伸ばす方式(スペクトル・フリーズ)です。 短い区間を単純に繰り返す方式と違って周期的なうねりが出ないかわりに、 残響がかかったような拡散的な音色になります。これは方式上の性質で、不具合ではありません。
13. テンポとキー
| speed(再生速度) | 25%〜150% を1%刻みで変更できます。音の高さは変わりません。 |
|---|---|
| key(移調) | ±12半音(1オクターブ)を半音刻みで変更できます。速度は変わりません。 |
操作
| ± ボタン | 1ステップずつ変更 |
|---|---|
| 横スワイプ | まとめて変更(speed は指の移動量あたりの刻みが細かく、key は粗く設定されています) |
| 中央をダブルタップ | リセット(100% / ±0) |
50% を下回る速度では、タイムストレッチ特有の音の粗さが増えます。 それでも速いフレーズの聴き取りを優先して、25% まで下げられるようにしています。
14. 書き出し(MIDI・音源)
MIDI を書き出す
⋯ メニューの「MIDIを書き出す」から、検出済みの全パートを1つの MIDI ファイル(SMF)として共有できます。楽譜作成アプリや DAW に読み込んで、 採譜の続きを進められます。
| 形式 | SMF format 1 / 480 ticks per beat |
|---|---|
| テンポ | BPM 120 固定(原曲のテンポ解析は行いません) |
| トラック構成 | テンポトラック+検出済みパートごとに1トラック。トラック名はパート名 |
| ベロシティ | 検出した音の強さを反映 |
音符の時間位置は「秒」を BPM 120 換算で置いたものです。原曲のテンポや拍子には 合っていないため、読み込み先で必要に応じてテンポを合わせてください。
分離した音源を書き出す
⋯ メニューの「分離した音源を書き出す」から、分離済みの各パートを WAV ファイルとして共有できます。ファイル名は「曲名 - パート名.wav」の形式です。 DAW に取り込んで編曲やリミックスに使えます。
形式: 16bit / 44.1kHz / ステレオ WAV
15. 曲メニューの設定
プレイヤー画面右上の ⋯ から開きます。設定はすべて曲ごとに保存されます。
| リピート再生 | 曲全体を繰り返します(A-B ループが有効な場合は区間の繰り返しが優先) |
|---|---|
| パートを選んだとき | 選択したパートのみ/他のパートを50%で/他のパートも再生(10章) |
| ピアノロールの表示音域 | 3 / 4 / 5 オクターブ |
| MIDIを書き出す | 検出済みのパートがある場合に表示されます |
| 分離した音源を書き出す | 分離済みのパートがある場合に表示されます |
| 分離前に戻す | 分離結果と各パートの検出結果を削除し、原曲だけの状態に戻します |
| ピアノ音源モード | 未分離の曲にのみ表示されます(下記) |
| 使い方を見る | プレイヤー画面のチュートリアルを再表示します |
ピアノ音源モード
ピアノだけの曲(ピアノソロ、弾き語りのピアノ部分など)を分離せずにそのまま 採譜するモードです。オンにすると、原曲に対してピアノ専用の高精度な音程検出が使われ、 精度が向上します。分離処理を挟まないぶん待ち時間も短くなります。
- 切り替えると、原曲に対する検出結果は破棄され、新しい方式で検出し直されます。
- すでに分離を行った曲では、この項目は表示されません。
分離前に戻す
分離したパートの音声と、パートごとの音程検出結果を削除して、取り込んだ原曲だけの 状態に戻します。原曲ファイルは分離後も保持されているため、いつでも戻せますし、 もう一度分離し直すこともできます。
分離でパートの音が欠けてしまったときに、ミックスのまま検出し直したい場合や、 端末の空き容量を空けたい場合に使います。実行前に確認ダイアログが出ます。
16. 精度と限界
得意な曲
- 生楽器を使った小編成の楽曲
- ピアノトリオやジャズピアノのように、パートの役割がはっきりしている音源
- 録音がクリアで、各パートが分離して聞こえる音源
録音の品質にもよりますが、ジャズピアノのトランスクライブでは、かなり速いパッセージでも音程を明確に拾えることを確認しています。
苦手な曲
- 全パートがシンセサイザーの曲
- 大編成の曲(管弦楽器、複数人のキーボード・ギター・コーラスなど)
- ハイゲイン/ファズなど、激しく歪んだ音色を含む曲
- 複数の楽器が同じ音域で重なっている箇所、厚いコーラス
起こりうること
- パートの混同 — あるパートの音が別のパートに混ざる、逆に本来あるはずの音が薄くなる。
- 音の取りこぼし — 小さい音や、他の音に埋もれた音が検出されない。
- 倍音の誤検出 — 実際には鳴っていない、オクターブ上などの音が検出される。
- ドラムへの混入 — ドラムパートは他のパートを差し引く形で作られるため、分離しきれなかった成分が混ざることがあります。音程検出の対象外パートのため、この方式を採っています。
音程検出の結果は「正解」ではなく、聴き取りの手がかりです。最終的な判断は必ず耳で確認してください。
精度を上げるためにできること
- ピアノだけの曲は、分離せずピアノ音源モードで採譜する
- 分離結果に納得できない場合は「分離前に戻す」で、原曲のまま検出し直す
- 速度を落として、HOLD と組み合わせて耳で確認する
- できるだけ高音質・非圧縮に近い音源を取り込む
17. データの保存と容量
保存されるもの
取り込んだ曲ごとに、次のデータが端末内のアプリ領域に保存されます。
| 原曲 | 取り込んだ音声(分離後も保持されるため「分離前に戻す」ができます) |
|---|---|
| 分離済みパート | パートごとの WAV(16bit / 44.1kHz / ステレオ) |
| 音程検出結果 | パートごとの検出データ |
| MIDI | 検出結果から生成されるファイル |
| アートワーク | 曲リストのサムネイル用の画像 |
分離済みパートは非圧縮の WAV です。全パートを分離すると、原曲の何倍もの容量を使います。 空き容量が少ない場合は、使わなくなった曲を削除するか、「分離前に戻す」で分離結果だけを 削除してください。
削除したとき
- 曲を削除 — その曲の原曲・分離済みパート・検出結果がすべて削除されます。
- 分離前に戻す — 分離済みパートと、パートごとの検出結果だけを削除します。原曲と、原曲に対する検出結果は残ります。
- アプリを削除 — 取り込んだ曲・分離した音声・検出結果はすべて端末から削除されます。再インストールしても復元されません。必要な MIDI やオーディオはあらかじめ書き出して保存しておいてください。
micopi は iCloud バックアップや端末間の同期を行いません。データは取り込んだ端末の中だけに存在します。
18. プライバシーと通信
- 音源分離・音程検出はすべて端末内で完結します。音声データが外部サーバーへ送信されることはありません。
- アカウント登録・ログインはありません。
- 機内モードでも全機能が使えます。
- カメラロールの動画は音声だけを抽出し、映像は保存しません。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
19. 技術仕様
使用している機械学習モデル
| 音源分離 | Demucs(HTDemucs)系のモデル。ボーカル・ベース・その他の専門モデルで分離し、ドラムは原曲から差し引いて作成、さらに残りからギターとピアノを分離します。この構成により、全パートの合計がほぼ原曲と一致します。 |
|---|---|
| 音程検出(汎用) | basic-pitch。ボーカル・ベース・ギター・その他・ミックスに使用。ポリフォニック(同時に複数音)対応。 |
| 音程検出(ピアノ) | ピアノ専用の高精度な転写モデル。ピアノのパート、およびピアノ音源モードで使用。88鍵全域を対象とし、音の立ち上がりをフレームより細かい精度で推定します。 |
すべてのモデルはアプリに同梱されており、ダウンロードは発生しません。
処理の内部仕様(概要)
| 実装 | SwiftUI / SwiftData / AVFoundation / Accelerate / Core ML。外部ライブラリへの依存はありません |
|---|---|
| 分離の処理単位 | 曲を約7.8秒のセグメントに分割し、重ねながらつないで(オーバーラップ加算)出力します。確定した部分から順次ファイルへ書き出すため、曲全体をメモリに保持しません |
| 音声の内部形式 | 分離は 44.1kHz ステレオ。音程検出はモデルに応じて 22.05kHz / 16kHz のモノラルへ変換(ブロック単位のストリーミング変換) |
| 再生エンジン | パートごとの再生ノードをミキサーで合成し、テンポ・キー変更はピッチ維持のタイムストレッチユニットで処理 |
| 数値検証 | 信号処理・モデル推論・後処理は、macOS 上でアプリと同一のコードを実行し、Python の原本実装と一致することを検証しています |
20. ライセンス
micopi は以下のオープンソースモデルを、端末内での推論にのみ使用しています。 アプリ内でも「曲リスト画面 左上の ? → ライセンス」から確認できます。
| Demucs (htdemucs / htdemucs_ft / htdemucs_6s) |
音源分離モデル MIT License © Meta Platforms, Inc. github.com/facebookresearch/demucs |
|---|---|
| basic-pitch |
音程検出モデル(標準) Apache License 2.0 © Spotify AB github.com/spotify/basic-pitch |
| Piano Transcription Inference |
ピアノ音程検出モデル(高精度) Apache License 2.0 © Qiuqiang Kong github.com/qiuqiangkong/piano_transcription_inference |
各ライセンスの全文はリンク先を参照してください。
著作権について
micopi で分離・採譜した結果の利用は、元の楽曲の著作権法上の制約を受けます。 私的使用の範囲を超える利用(公開・配布・演奏など)については、 利用者ご自身の責任でご確認ください。
21. よくある質問
ストリーミングの曲を取り込めますか?
取り込めません。Apple Music などで配信されている曲や DRM で保護された曲は、 iOS の仕様上ほかのアプリから読み取れません。購入した曲、パソコンから同期した曲、 ファイルアプリにある音声ファイル、カメラロールの動画の音声が対象です。
分離や検出が終わりません/時間がかかります
分離は端末上の機械学習処理のため、曲の長さと端末の性能に応じて時間がかかります (5分の曲でおよそ1〜5分)。アプリを開いたままお待ちください。バックグラウンドでは 処理が待機状態になるため、ホーム画面に戻ると進みません。中断したい場合はキャンセルできます。
処理中に他の曲も分離できますか?
投入はできますが、実行は1件ずつです(「順番待ち」と表示されます)。 メモリの制約上、複数を同時に処理することはできません。
ピアノロールに何も表示されません
- 検出中の場合は進捗が表示されます。完了までお待ちください。
- 選択しているのがドラムだけの場合、ドラムは音程検出の対象外のため表示されません(原曲の検出結果に切り替わります)。
- 音が薄い区間・検出できなかった区間では、音符が並ばないことがあります。
特定のパートだけを消した音源で練習したい
分離済みのパートのアイコンを長押しすると、そのパートだけが鳴らなくなります (マイナスワン)。譜面の表示(選択)とは独立しているので、消したパートのピアノロールを 見ながら演奏できます。
端末の空き容量が足りないと言われます
分離済みパートは非圧縮の音声データとして保存されるため、容量を多く使います。 使わなくなった曲を削除するか、「分離前に戻す」で分離結果だけを削除してください。
書き出した MIDI のテンポが曲と合いません
MIDI は BPM 120 固定で書き出されます(原曲のテンポ解析は行っていません)。 音符の時間位置は実時間に基づいているため、読み込み先のアプリでテンポを 原曲に合わせて調整してください。
処理中にアプリが落ちました
長い曲や、端末の空きメモリが少ない状態では、処理中に強制終了されることがあります。 ほかのアプリを終了してから再度お試しください。データが壊れることはありません (完了したパートのみが保存されます)。再現する場合は サポートまでご連絡ください。
データのバックアップや別端末への移行はできますか?
アプリ内でのバックアップ・同期機能はありません。必要な結果は MIDI やオーディオとして 書き出して保存してください。
22. 用語集
| 耳コピ | 曲を聴いて、演奏されている音を採ること。 |
|---|---|
| パート分離(音源分離) | 混ざった音源を、楽器や声ごとの音に分ける処理。分けた1つ1つを「ステム」とも呼びます。 |
| ミックス | 分離する前の、取り込んだままの原曲。 |
| 音程検出(転写・採譜) | 音声から「どの高さの音が、いつ、どれだけ鳴っているか」を推定する処理。 |
| ピアノロール | 音の高さと時間を格子状に表した図。DAW などで一般的な表示方式です。 |
| ポリフォニック | 同時に複数の音が鳴っている状態。和音やハモリを含みます。 |
| マイナスワン | 特定のパートだけを抜いた音源。そのパートを自分で演奏する練習に使います。 |
| A-B ループ | 曲の中の2点(A と B)で区間を指定し、そこだけを繰り返し再生すること。 |
| SMF(Standard MIDI File) | MIDI の標準ファイル形式。楽譜作成アプリや DAW で読み込めます。 |
| タイムストレッチ | 音の高さを変えずに再生速度だけを変える処理。 |
| オンデバイス処理 | サーバーへ送らず、端末の中だけで処理を完結させること。 |
お問い合わせ
このページで解決しない場合や、不具合のご報告・ご要望は以下までご連絡ください。 返信までに数日いただくことがあります。